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世界の汚い地域ランキングTOP10

排気ガス、重金属、放射線、はては電子ゴミまで。2025年の今もなお、世界には“人類の負の遺産”が居座る地域が点在しています。今回は、思わず鼻をつまみたくなる「世界の汚い地域ランキング」トップ10をお届け。さぁ、防塵マスクを装着してご一緒に!

第10位 カラガンダ(Karaganda, Kazakhstan)

引用:https://qazaqtimes.com/en/article/33955

かつて石炭と鉄鋼でソ連を支えた中央アジアの炭鉱都市。今も製鉄所・火力発電所が吐き出すPM2.5が深刻で、2024年の世界空気質報告では“平均PM2.5濃度世界3位”の不名誉を獲得しました。煤煙で霞む冬空は、遠くからでも一目で「スモッグ警報発令中」と分かるほど。

第9位 マタンザ‐リアチュエロ流域(Matanza‑Riachuelo Basin, Argentina)

引用:https://www.ecohubmap.com/hot-spot/water-pollution-matanza-riachuelo-river-argentina/7s3tklfr5g6nk

ブエノスアイレスを流れるわずか16 kmの川が、実にアルゼンチン人口の1割・約400万人の生活排水と工業廃水を丸ごと背負う“大型排水溝”。油膜、鉛、クロム、そして悪臭…。世界銀行が数十億ドルを投じて大浄化プロジェクトを進行中ですが、完了はまだ先の話。

第8位 スクンダ鉱山地域(Sukinda, Odisha, India)

引用:https://countercurrents.org/2019/04/the-poisoning-of-water-in-the-sukinda-region/

世界のクロム鉱石の約10%を生む一方で、六価クロムが地下水にダダ漏れ。住民の胃袋に入り込んで“天然毒ドリンク”と化しています。調査では井戸水の六価クロム濃度がWHO基準の100倍を超える地点も。

第7位 チタルム川(Citarum River, Indonesia)

引用:https://news.mongabay.com/2022/08/java-communities-rally-as-clock-ticks-on-cleanup-of-worlds-dirtiest-river/

「世界で最も汚れた川」の呼び声高し。700を超える繊維工場がカドミウム入り染料をドバドバ排出。政府は2026年までに飲料水レベルへ回復させる大号令を出しましたが、実現にはまだ長い航路。

第6位 アグボグブロシー(Agbogbloshie, Ghana)

引用:https://eos.org/research-spotlights/tracking-air-pollution-from-ghanas-e-waste-site

アクラ市内の“電子ゴミの墓場”。iPhoneもノートPCもここで野焼き解体され、鉛とダイオキシンが黒煙と共に舞い上がります。論文によると、ここの子どもの血中鉛濃度は先進国平均の数倍。

第5位 カブウェ(Kabwe, Zambia)

引用:https://www.hrw.org/report/2025/03/05/poisonous-profit/lead-waste-mining-and-childrens-right-healthy-environment-kabwe

「地球で最も鉛まみれの街」と呼ばれる鉛鉱山跡。採掘は1994年に終わっても、風が吹けば土埃と一緒に鉛が舞う“無限リサイクル”。2025年春の調査でも子どもの半数が中毒レベルの血中鉛を示しました。

第4位 ラ・オロヤ(La Oroya, Peru)

引用:https://www.humanrightsnetwork.org/projects/peru-industrial-pollution

アンデス山中の冶金コンビナート都市。標高3,700 mの澄んだ青空…のはずが、実際は硫黄酸化物で灰色。子どもの97%が高血中鉛を抱えるという衝撃データも。休止と再稼働を繰り返す巨大製錬所が街の運命を握ります。

第3位 ノリリスク(Norilsk, Russia)

引用:https://blogs.gwu.edu/arcticpire/2016/09/15/the-red-river-of-norilsk-how-the-remoteness-of-the-arctic-amplifies-environmental-disasters/

北極圏のメタルメガハブ。“雪が黒くて常識”はここだけの風物詩。ニッケル精錬で年180万トンのSO₂を大気に放ち、NASA衛星からも真っ赤に映る汚染ホットスポット。企業は排ガス回収プロジェクトを進めるものの、完全クリーン化は2030年代以降と言われます。

第2位 臨汾(Linfen, China)

引用:https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2015/03/03/chinas-biggest-viral-video-right-now-is-this-two-hour-long-documentary-on-pollution/

石炭の都・山西省臨汾は、夜が更けるとまるで石炭ストーブを空にひっくり返したような真っ黒スモッグで有名。かつては「窓を開けない」が住民の常識でした。近年は脱炭素政策で改善の兆しがあるものの、石炭依存の影は依然濃いままです。

第1位 チェルノブイリ立入禁止区域(Chernobyl Exclusion Zone, Ukraine)

引用:https://www.euronews.com/green/2022/03/28/chernobyl-radioactive-air-pollution-released-by-massive-forest-fires-officials-warn

汚染の“ラスボス”はやはりここ。1986年に放たれた放射性物質は半減期数万年レベル。2025年もなお立入制限が続き、近年の戦闘で土壌中の放射性粉塵が再浮上したとの報告も。汚染レベルは他と“桁違い”のため、栄えある第1位に。

まとめ

今回の10地域は、いずれも「産業の恩恵」と「環境コスト」のギャップが極端に噴出した場所でした。あなたのスマホ、洋服、エネルギーが、地球の裏側で“汚れ”を生んでいるかもしれません。スモッグも廃水も風と川で国境を越える――つまり、問題を分かち合うのも私たち全員。次の買い物でエシカルな選択をすることが、10地域の未来を少しだけ明るくする一歩になるかもしれません。