世界には「事実は小説より奇なり」を地で行く大胆不敵な窃盗事件が山ほどあります。中でも桁外れの額面、洗練された手口、そして人々の記憶に焼き付くドラマ性を備えた “珠玉の10件” を、ランキング形式で振り返ってみましょう。あなたの想像力を軽く飛び越える“犯罪界のレジェンド”が勢揃いです。
第10位 ビッグ・メープル・リーフ金貨盗難事件(Big Maple Leaf Coin Theft, 2017)

引用:https://canadiancoinnews.com/four-men-on-trial-for-100-kilogram-gold-big-maple-leaf-theft/
2017年3月、ベルリンのボーデ博物館から重さ100 kg・純度99.999%のカナダ製超特大金貨「ビッグ・メープル・リーフ」が忽然と姿を消しました。推定時価は約400万ドル。窓際から線路へ投げ落とし、台車で運搬するという豪快さで、ドイツの犯罪一家レモ一族が逮捕されるもコインは溶解されたとみられています。
第9位 ルフトハンザ貨物倉庫強盗事件(Lufthansa Heist, 1978)

1978年12月11日未明、ニューヨークJFK空港の貨物ビルにマフィア系グループが侵入し、わずか64分で580万ドル相当の現金と宝石を強奪。史上最大級の米国現金強盗は映画『グッドフェローズ』でもおなじみ。事件後は「口封じ」の連続殺人が発生し、犯人たちは次々と“消されて”いきました。
第8位 ハットン・ガーデン宝石窃盗(Hatton Garden Heist, 2015)

“リタイア世代”の老練泥棒6人組がイースター連休のロンドン地下金庫に潜入。50 cm厚のコンクリ壁を工事用ドリルで穿孔し、最大1400万ポンド相当の宝飾品を持ち去りました。平均年齢60代の“シルバー強盗団”というミスマッチが英国民の心を妙にくすぐった一件です。
第7位 大列車強盗(Great Train Robbery, 1963)

1963年8月8日、英王室郵便列車を15人の武装グループが襲撃し、当時261万ポンド(現在価値で約7,300万ポンド)を奪取。信号装置を偽装して列車を停車させる“アナログ”作戦が功を奏しましたが、主犯格の多くはのちに逮捕。英国犯罪史の代名詞となった事件です。
第6位 ブリンクス=マット金塊強奪事件(Brink’s‑Mat Robbery, 1983)

ヒースロー空港近くの倉庫で起きた事件。強盗団は警備員と“義兄弟の杯”を交わすほどの内通で鍵を入手し、2,600万ポンド分の金塊・ダイヤを持ち去りました。いまなお回収率はごくわずか、裏社会へ溶け込んだ“ロンドンの金”は闇をさまよい続けています。
第5位 バンコ・セントラル地下金庫トンネル強盗(Banco Central Burglary, 2005)

ブラジル北東部フォルタレザで、芝生屋を装った犯人グループが3か月かけて銀行地下金庫まで256 mのトンネルを掘削。週末の間に現金約7,000万ドルを“地中輸送”しました。物理攻撃と周到な隠密作戦を両立させた、まさに“穴掘りプロ”の職人芸。
第4位 アントワープ・ダイヤモンド強盗(Antwerp Diamond Heist, 2003)

引用:https://www.wired.com/2009/03/ff-diamonds-2/
“世紀のダイヤモンド強盗”と異名を取る本事件では、多重警報システムを持つ金庫室に15分だけ侵入し、1億ドル超の原石・宝飾品を消し去りました。指紋ゼロ、監視カメラも無力化。後に逮捕された頭脳派ロベルト・ノタルバルトロらの周到な計画は、犯罪教科書さながらです。
第3位 ドレスデン緑の丸天井宝物庫襲撃(Dresden Green Vault Burglary, 2019)

わずか数分で18世紀王室の至宝4,300個のダイヤを抜き取り、被害総額は1億1,300万ユーロ以上。濃い煙で警報をかく乱し、格子を切断して突破するスピード勝負。逮捕されたのはビッグ・メープルでも名をはせたレモ一族の面々でした。
第2位 イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館盗難(Isabella Stewart Gardner Museum Heist, 1990)

警官に扮した2人組がボストンの美術館に侵入し、フェルメールやレンブラントなど13点、総額5億~6億ドル相当を持ち去って行方は闇。未解決のまま懸賞金1,000万ドルが今も宙に浮いています。
第1位 モナリザ盗難事件(Mona Lisa Theft, 1911)

1911年8月21日、ルーヴルの元職員ヴィンチェンツォ・ペルージャが絵画ごと額を外し、白衣に包んで持ち出した“世界一有名な誘拐”。2年間の行方不明中にメディアが熱狂し「モナリザ神話」が誕生。金額換算不能の“無形価値”こそ、窃盗史上最大のインパクトと言えるでしょう。
まとめ
巨額の現金や宝石はもちろん、歴史的芸術品まで——狙われるモノの価値は千差万別ですが、共通しているのは「人間の創意と執念が常識を凌駕した瞬間」であること。最新テクノロジーが発達しても、泥棒たちの“発想力”は進化し続けます。裏を返せば、私たちの好奇心もまた尽きることがないということ。窃盗事件の顛末は、皮肉にも“人類最高のエンタメ”なのかもしれません。