勉強・進路

【職業インタビュー】社会福祉士の仕事について、実際に聞いてみました!

日本の社会福祉士は、生活に困難を抱えた人々の相談に応じ、制度や地域資源につなげる専門職として、社会のさまざまな場面で必要とされています。少子高齢化が進む現代日本において、医療、介護、児童、障害、生活困窮などへの支援はますます重要となり、その中心的な役割を担う社会福祉士の存在感は年々高まっています。しかし、その仕事内容や働き方、やりがい、そして課題について、一般にはまだ十分に理解されていない部分があります。本記事では、現場の実践を支える社会福祉士の仕事を、記者からの質問に答える形で詳しく紹介します。これから社会福祉士を目指す学生や、福祉の仕事に関心を持つ方々にとって、進路選択や理解を深めるきっかけとなることを目指します。

Q1. 社会福祉士とはどのような仕事ですか?

社会福祉士は、生活に困難を抱える人や支援を必要としている人に寄り添い、相談に応じながら、適切な制度やサービスにつなげる専門職です。高齢者や障害のある方、子どもやその家庭、生活が不安定な方などを対象にし、その人が自分らしく暮らしていけるよう、社会との橋渡し役を担います。

Q2. 主にどんな活動をするのですか?

相談者の状況を丁寧に聞き取り、生活上の課題を整理したうえで、必要な支援の計画を立てたり、行政や医療、学校などさまざまな機関との調整を行います。権利を守る活動や虐待への対応、地域の新たな支援体制づくりなども行い、個人だけでなく社会全体の福祉向上を目指す役割があります。

Q3. どんな職場で働くことが多いですか?

医療現場では病院の相談員として患者や家族の退院支援を行い、介護分野では地域包括支援センターなどで高齢者の総合相談に対応します。その他、障害福祉サービス事業所、自治体の福祉窓口、児童相談所や児童福祉施設、さらには就労支援の現場など、多様な場所で活躍しています。

Q4. 必要な資質やスキルは?

相手を尊重しながら話を聞き続ける力、困難に向き合う倫理観、そして相談者本人が課題と向き合えるよう導く力が求められます。また、制度や法律の知識を学び続ける姿勢や、多様な職種と連携する調整力、精神的負担と向き合うための自己管理能力も欠かせません。人の人生に寄り添う専門職として、人間性と専門性の両方が試されます。

Q5. 仕事のやりがいは何ですか?

支援者として関わった人が少しずつ前を向き、自分らしい生活を取り戻していく姿に触れられることが大きな喜びです。「ありがとう」という言葉だけではなく、暮らしが安定していく変化そのものがやりがいになります。また、社会的に弱い立場の人を支えることが、地域社会を支える力にもなるという誇りがあります。

Q6. 逆に大変な点はありますか?

相談内容が深刻で緊張感の高い場面が多かったり、制度や手続きが複雑で時間との戦いになることがしばしばあります。支援の成果がすぐに見えないことも多く、忍耐強さが必要です。また、相談者の苦しみに共感するあまり自分が疲弊しないよう、精神的なセルフケアが求められます。

Q7. 社会福祉士になるためにはどうすればいいですか?

福祉系大学で専門課程を修了して国家試験を受けるルートが一般的ですが、他学部卒業後に養成施設で学び直す方法や、福祉現場での実務経験を積んで受験資格を得る方法もあります。資格取得後も、研修や学び続ける姿勢が重要です。

Q8. 資格取得後はどのようにスキルアップしますか?

働きながら研修に参加して専門性を磨いたり、医療・司法・児童など特定の分野を深めて認定社会福祉士を目指す道があります。実践研究や学会活動、後進育成などを通してキャリアを広げていくことも可能です。学び続けるほど、支援の幅が広がっていきます。

Q9. 年収について教えてください。

おおむね年収350万~450万円ほどが一般的とされています。ただし、働く分野や勤務先の規模、自治体の違い、経験年数によって差があり、行政職として働く場合は比較的安定した昇給が見込まれます。病院勤務では専門性を評価される一方で多忙さを伴うことがあり、福祉施設ではやや低めの傾向があります。経験を積んで管理職や専門職として活躍することで、500万円以上に到達するケースもあります。

Q10. キャリアパスを教えてください。

現場の相談支援を極めて特定領域のスペシャリストとして活躍する道もあれば、施設の管理職として組織をまとめる役割に進む道もあります。大学や研修機関に携わり、研究者や教育者として人材育成に関わることもあります。また、相談支援事業所やNPOを立ち上げ、独立して地域課題に挑む人もいます。本人の志向や価値観に応じて、進む道を選べる職業です。

Q11. ワークライフバランスは取れますか?

職場や担当業務によって働き方は大きく異なります。シフト制の施設や病院では、不規則な勤務や急な対応が求められることがありますが、一方で近年は働き方改革が進み、休暇取得をしやすくする取り組みも増えています。自分に合った職場選びが、生活との調和を保つ大きな鍵となります。

Q12. 今後の需要はどう見ていますか?

日本は超高齢社会の中にあり、また多様な生きづらさを抱える人々が増えていることから、社会福祉士の役割は今後も広がると見込まれています。AIでは代替しにくい「人に寄り添う専門性」が必要とされ続けるため、福祉の現場における需要は安定して高まっています。

Q13. 社会貢献性は高いですか?

生活の困難に直面している人を支え、その人の権利を守り、地域全体の福祉環境を改善していくという点で、非常に社会貢献度の高い職業です。一人ひとりを支えることが、社会全体の「誰も取り残さない仕組み」づくりにつながります。

Q14. 課題はありますか?

待遇面の改善が必要とされることや、業務量が多い中で社会福祉士の専門性が十分理解されない場面があることが課題です。国や自治体、そして専門職自身による発信力強化が求められており、より働きやすい環境づくりが進められています。

Q15. 最後に、進路に悩んでいる学生へアドバイスをお願いします。

社会福祉士は楽な仕事ではありませんが、人の人生の大切な瞬間に寄り添い、支えることができる、非常に意味のある職業です。興味があるなら、まずは福祉施設のボランティアや見学に参加してみることで、自分の思いがよりはっきりと見えてきます。「誰かの力になりたい」という気持ちがあるなら、その思いを大切に育ててください。きっと、自分らしい道が開けていくはずです。