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【職業インタビュー】保健師の仕事について、実際に聞いてみました!

保健師は、人々の健康を守り、病気を未然に防ぐ“地域の健康の守り手”です。病気の治療を担う医療現場とは異なり、保健師は予防や健康づくりを通して、住民一人ひとりの生活を支えます。乳幼児から高齢者まで、あらゆる世代の健康課題に寄り添い、行政や企業、学校など多様な場で活躍しています。感染症対策やメンタルヘルス支援など、社会的役割も年々拡大しており、今後ますます重要性が高まる職種です。本記事では、記者の質問を通じて、保健師の仕事内容や魅力、キャリアの可能性を詳しく紹介します。

1. 保健師とはどんな仕事ですか?

保健師は、人々の健康を守り、病気を未然に防ぐことを目的とした専門職です。看護師資格を持ち、さらに「公衆衛生」に関する高度な知識を有しており、地域・学校・企業などで健康づくりや生活習慣病予防、母子保健、感染症対策などを行います。医療の「治療」よりも、「予防」と「健康支援」に重点を置くのが特徴です。

2. 保健師になるにはどんな資格が必要ですか?

保健師になるには、まず看護師の国家資格を取得し、その上で保健師養成課程(大学や専門学校)を修了し、保健師国家試験に合格する必要があります。看護師資格が前提となるため、通常は4〜5年の学習期間が必要です。

3. 保健師の主な勤務先はどこですか?

主な勤務先には、市区町村の保健センター、企業の健康管理室、学校、病院、大学などがあります。特に自治体で働く「行政保健師」が多く、地域住民の健康相談や予防接種、母子保健、介護予防などに携わります。

4. 仕事のやりがいは何ですか?

地域の人々の健康状態が改善したり、生活習慣が前向きに変化したりするのを見届けられることに大きなやりがいを感じます。また、子育て支援や高齢者の介護予防など、人生のあらゆる段階に関われる点も魅力の一つです。

5. 大変なところはどこですか?

一人ひとりの生活背景が異なるため、画一的な支援ではうまくいかない点が難しさです。信頼関係を築きながら、個別に寄り添った支援を行う必要があります。また、行政職の場合はデスクワークや報告書作成なども多く、柔軟な対応力が求められます。

6. 一日のスケジュールを教えてください。

勤務先によりますが、一般的な行政保健師の場合、午前中は家庭訪問や健康相談、午後は記録整理や会議、地域住民向けの健康教室などを行います。夜勤はほとんどなく、土日祝日は休みのことが多いです。

7. 年収について教えてください。

保健師の年収は勤務先によって異なります。

  • 行政保健師(自治体職員)は、平均年収は約400〜600万円。経験や役職により700万円を超えることもあります。
  • 企業保健師は、大企業では年収500〜700万円前後が多く、医療職の中でも比較的高水準です。
  • 学校保健師・病院保健師は、勤務形態により350〜550万円程度が一般的です。

ボーナスや福利厚生が手厚い自治体・企業も多く、安定した収入が見込めます。

8. キャリアパスを教えてください。

保健師としてのキャリアは多様です。

  • 行政保健師の場合は、主任→係長→課長など、行政職として昇進が可能です。
  • 企業保健師の場合は、産業保健分野での専門性を高め、産業医や人事部門と連携する立場になる人もいます。
  • 大学・教育分野では、実務経験を活かし、教員や研究者として保健教育に携わる道もあります。

また、地域包括支援センターや国際保健分野での活動など、キャリアの幅は年々広がっています。

9. どんな人がこの仕事に向いていますか?

人と接するのが好きで、相手の立場を理解しながら支援できる人に向いています。短期的な成果よりも、長期的に人々の健康を支える姿勢が大切です。聞き上手であることや、コミュニケーション力、忍耐力も重要です。

10. 学生時代にやっておいたほうがいいことは?

ボランティア活動や地域交流の経験は非常に役立ちます。また、看護や公衆衛生の基礎知識をしっかり身につけ、社会問題や行政の仕組みにも関心を持つと良いです。統計やプレゼンテーションスキルも実務で役立ちます。

11. チームワークは重要ですか?

非常に重要です。保健師は医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなど多職種と協働します。情報共有とチームでの判断が求められるため、協調性とリーダーシップの両方が必要です。

12. 現在の社会で保健師が果たす役割は?

感染症の拡大防止、高齢化対策、メンタルヘルス支援など、社会課題が多様化する中で、保健師の重要性は増しています。行政や企業において「健康経営」や「地域包括ケア」の中心的存在として期待されています。

13. 今後の将来性はどうですか?

少子高齢化や健康格差の拡大により、保健師の役割は今後さらに重要になります。特に、メンタルヘルス支援や地域包括ケアの分野でのニーズが高まっており、安定した将来性がある職業です。

14. 最後に、進路に悩んでいる学生へアドバイスをお願いします。

保健師は、目立つ仕事ではありませんが、人の「生き方」や「健康のあり方」に深く関わる尊い仕事です。迷っているなら、実際に現場を見学したり、現役保健師の話を聞いたりして、自分の将来像を描いてみてください。人の笑顔や「ありがとう」に支えられる仕事を求める人には、きっとやりがいを感じられるはずです。