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高価な医薬品ランキングTOP10

「薬は人生を変える」とはよく言いますが、今回ご紹介する薬は“人生を変える”どころか“医療経済の常識を覆す”お値段です。超希少疾患向けの遺伝子治療が相次いで登場した結果、1回投与で高級住宅が建つような高額薬がずらり。そこで、最新の“高価な医薬品ランキング TOP10”を第10位からカウントダウン形式でお届けします。

第10位 ダニエルザ(Danyelza)

骨髄に転移した神経芽腫を標的とする抗体医薬。年間およそ97.7万ドル。小児がん治療の最前線に立つものの、高価すぎて「病院も家計もヒヤヒヤ」という声が絶えません。

第9位 ゾキンヴィ(Zokinvy)

早老症プロジェリアの進行を遅らせる初の経口薬。約103万ドル/年という値札は、患者数400人弱という超ニッチさゆえ。体表面積で用量が変わるため、成長期の子どもほど“家計直撃度”が上がるのが悩ましいところです。

第8位 ゾルゲンスマ(Zolgensma)

脊髄性筋萎縮症(SMA)向け“一撃必殺”の遺伝子治療で、価格は225万ドル。投与は1回60分、でも価格は“生涯分前払い”というインパクトで世間を驚かせました。

第7位 ジンテグロ(Zynteglo)

輸血依存型ベータサラセミアを根治に導く細胞治療。280万ドルの値付けながら、5年以内に再輸血が必要になれば80%返金という「成果報酬モデル」も話題に。

第6位 ロクタビアン(Roctavian)

重症血友病A患者が待ち望んだAAV遺伝子治療。1回あたり290万ドル。4年間の有効性保証が付く“延長保証”付き高級車ならぬ高級薬です。

第5位 スカイソナ(Skysona)

脳型副腎白質ジストロフィー(CALD)を対象にしたBluebird Bioの遺伝子治療。300万ドルで、「兄弟薬」ジンテグロよりさらに高値更新。安全性リスクへの懸念もありつつ、今なお“最後の砦”として期待されています。

第4位 エレヴィディス(Elevidys)

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)向け。320万ドルで上市後すぐに“世界3位”の座に。2025年に相次いだ安全性問題でFDAが販売停止を検討中と報じられ、価格だけでなくリスク管理も熱視線。

第3位 ベクベズ(Beqvez)

ファイザーが投入した血友病B用遺伝子治療。350万ドルとヘムジェニックスと同額ながら、市場ニーズの読み違いで2025年2月に世界的な販売撤退方針を発表。“高すぎて買い手不在”を象徴する事例です。

第2位 ヘムジェニックス(Hemgenix)

同じく血友病Bをターゲットにした一発治療。350万ドルでも安いという算段ですが、投与数は伸び悩み。高価格帯市場の難しさを浮き彫りにしました。

第1位 レンメルディ(Lenmeldy/海外名Libmeldy)

メタクロマチック白質ジストロフィー(MLD)治療のゲームチェンジャー。堂々の425万ドル(約5億4,000万円)で“世界最高額”の王座に君臨。患者は幼児期発症が多く、未治療なら5年以内に命を落とす難病。価格議論は絶えませんが、「命のタイムリミット」に挑む唯一無二の存在です。

まとめ

高額薬ランキングは年々“インフレ”が進行し、億越えが当たり前に。背景には①希少疾患という極小市場、②治癒または長期寛解を狙う“一回投与”型治療の台頭、③開発コストの集中――があります。
一方で、企業は成果連動型払い戻しや分割払いなど支払いモデルを工夫し、保険者や患者との“着地点”を模索中。とはいえ価格は上がる一方。次にランキングを更新するとき、1位が500万ドル超になっていても不思議ではありません。高額薬時代をどうサステナブルにするか――医療者だけでなく私たち消費者も知恵を絞るフェーズに入っています。