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【職業インタビュー】診療放射線技師の仕事について、実際に聞いてみました!

医療の現場で欠かせない存在である「診療放射線技師」。レントゲンやCT、MRIなどの画像検査を通じて、医師の診断や治療を支える専門職です。放射線という高度な技術を扱うだけでなく、患者一人ひとりに寄り添い、安心して検査を受けられる環境をつくることも大切な使命です。近年は医療の高度化やAI技術の発展により、その役割はさらに広がっています。本記事では、現役の診療放射線技師への質問を通して、仕事内容ややりがい、キャリアパスなどを詳しく伺いました。未来の医療を支える職業の実像に迫ります。

1. 診療放射線技師とはどんな仕事ですか?

診療放射線技師は、病院やクリニックなどの医療機関で、放射線を用いた検査や治療を専門に行う国家資格を持つ医療技術職です。主な業務は、X線撮影、CTスキャン、MRI、マンモグラフィ、放射線治療などで、医師の診断や治療をサポートします。また、画像の品質管理や被ばく線量の管理、安全対策なども重要な仕事です。

2. 一日の仕事の流れを教えてください。

勤務先によって異なりますが、一般的な病院勤務の場合、朝は機器の点検から始まり、外来患者や入院患者の検査を行います。午前は予約検査が中心で、午後は緊急検査や追加撮影に対応することが多いです。夜勤体制のある病院では、救急患者の撮影にも対応します。

3. どんなスキルが求められますか?

技術的な知識はもちろん、患者さんに安心して検査を受けてもらうためのコミュニケーション能力が求められます。画像診断装置は年々進化しており、ITやデジタル画像処理に関する理解も欠かせません。また、被ばく管理のための物理的知識も必要です。

4. どんな場所で働くことが多いですか?

主な勤務先は、総合病院、大学病院、クリニック、検診センターなどです。そのほか、研究機関や医療機器メーカー、放射線取扱施設などに進む人もいます。

5. 放射線を扱う仕事で危険はありませんか?

適切な防護措置を取れば、安全に働くことができます。放射線技師は放射線防護に関する専門知識を持ち、法律で定められた基準に基づいて被ばく管理を行っています。鉛の防護具や遮蔽設備などを使用することで、年間被ばく量を厳格に管理しています。

6. やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?

撮影した画像から病変が早期に発見され、患者さんの命が救われた時に大きなやりがいを感じます。また、自分の技術によって美しい画像を撮影できたときや、患者さんから「安心して検査を受けられました」と感謝されたときも嬉しい瞬間です。

7. 大変なことはありますか?

緊急時の対応や、長時間の立ち仕事など、体力的に厳しい場面もあります。また、医師や看護師など多職種と連携するため、コミュニケーションやチームワークも重要です。常に新しい技術を学び続ける姿勢も求められます。

8. 診療放射線技師になるにはどうすればいいですか?

高校卒業後、文部科学省や厚生労働省が指定する診療放射線技師養成課程(大学・短大・専門学校)で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。国家資格を取得後に初めて現場で働くことができます。

9. 必要な資格や免許はありますか?

基本となるのは「診療放射線技師免許」です。加えて、放射線治療専門技師、核医学専門技師、検診マンモグラフィ撮影認定技師など、分野ごとの専門資格を取得することでキャリアアップが可能です。

10. 年収について教えてください。

診療放射線技師の年収は、勤務先や経験年数によって異なりますが、平均年収はおよそ450万~550万円程度です。初任給は20万円前後で、経験を積むと600万円以上も目指せます。大学病院や公務員病院は安定した給与体系があり、民間病院では夜勤やオンコール(呼び出し)の手当がつく場合もあります。

11. キャリアパスを教えてください。

初めは一般撮影やCT検査からスタートし、経験を積むとMRIや放射線治療、核医学など専門分野に進むことができます。さらに、主任技師や放射線科責任者として管理職を目指す人もいます。大学院で研究を進めたり、教育機関で教員として活躍する道もあります。

12. どのような人がこの仕事に向いていますか?

責任感が強く、慎重で几帳面な人に向いています。機械操作が多いので理系的な思考も大切です。また、患者さんに優しく接する姿勢や、人の役に立ちたいという気持ちを持っていることも重要です。

13. 将来性はありますか?

医療の高度化と高齢化社会の進行により、放射線検査や治療の需要は今後も高まると考えられます。AI技術との融合も進んでおり、画像解析の支援や自動診断の分野で活躍の場が広がっています。

14. 働き方改革やワークライフバランスは進んでいますか?

大病院ではシフト制が整備され、有給休暇の取得や残業削減の取り組みが進んでいます。夜勤のある職場もありますが、検診センターやクリニック勤務の場合は日勤のみの働き方も可能です。

15. 最後に、進路に悩んでいる学生へアドバイスをお願いします。

診療放射線技師は、医療チームの一員として「見えない病気を見つける」重要な役割を担っています。技術職でありながら、人と深く関わる仕事でもあります。理系が得意で、人の健康や命を支えたいという気持ちがあるなら、とてもやりがいのある職業です。学校訪問や病院見学で実際の現場を体感し、自分に合うかどうかを確かめてみるとよいでしょう。