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【職業インタビュー】獣医師の仕事について、実際に聞いてみました!

日本の獣医師は、動物の命を守るだけでなく、人と動物が共に生きる社会を支える重要な専門職です。ペット医療の高度化や家畜の衛生管理、感染症対策、さらには食の安全確保など、その活躍の場は広範囲に及びます。近年では動物医療の技術革新が進み、CTやMRI、再生医療など人間医療に匹敵する水準に達しています。一方で、長時間労働や精神的負担など課題も多く、情熱と覚悟が求められる職業でもあります。この記事では、記者による質問を通して、日本の獣医師という仕事の実態ややりがい、将来性について詳しく紹介します。

1. 獣医師とはどのような仕事ですか?

獣医師は、動物の健康を守る医療専門職です。犬や猫などのペットだけでなく、牛・馬・豚などの家畜、動物園の動物、さらには野生動物や実験動物の診療にも関わります。また、食の安全を守る公務員獣医師や、製薬企業・研究機関でワクチン開発や感染症研究に携わる獣医師もいます。
つまり、「動物の医者」であると同時に、「人と動物の共生を支える専門家」でもあります。

2. 主な勤務先や働く場所は?

勤務先は多岐にわたります。もっとも多いのは動物病院で、次いで公務員(地方自治体や農林水産省など)、製薬会社、大学・研究機関です。
地方では畜産業が盛んな地域で家畜診療に従事する人も多く、都市部では小動物医療が中心です。

3. 1日のスケジュールを教えてください。

勤務先によって異なりますが、動物病院勤務の場合、午前中は診察や手術、午後は検査や入院動物のケアを行います。夜間救急を担当する場合は夜勤もあります。
公務員獣医師の場合は、検査業務や現場調査、書類作成などが中心で、比較的規則的な勤務です。

4. 年収について教えてください。

平均的な年収は勤務先や経験によって大きく異なります。(以下、ライターによる要約)

  • 新卒の初任給:おおよそ25万〜30万円前後
  • 動物病院勤務の平均年収:400万〜600万円程度
  • 開業獣医師:成功すれば年収1,000万円を超えることも
  • 公務員獣医師:安定しており、勤続年数に応じて昇給し、600〜800万円程度になるケースもあります。

5. キャリアパスを教えてください。

獣医師のキャリアは大きく次のような道があります。(以下、ライターによる要約)

  1. 臨床獣医師(動物病院勤務 → 開業)
  2. 公務員獣医師(食肉衛生検査所・動物保健所など)
  3. 研究職・企業勤務(製薬会社、食品会社、大学研究員など)
  4. 専門医への道(腫瘍科、眼科、皮膚科など専門領域を極める)

最近では「動物看護師やトリマーとチームで診療にあたる体制」や、「海外で働く日本人獣医師」も増えています。

6. 資格を取るにはどのようなステップが必要ですか?

獣医学部(6年制)を卒業し、国家試験に合格する必要があります。日本には獣医学部を持つ大学が17校あり、入学難易度は非常に高いです。
国家試験合格率は80〜90%前後と高めですが、合格後も実務経験を積んで初めて一人前といえます。

7. 獣医学部ではどんなことを学ぶのですか?

1〜3年次は生物学・解剖学・生理学などの基礎科目を学び、4〜6年次になると臨床実習や実験動物学、公衆衛生学など実践的な内容が中心になります。
動物の診療だけでなく、感染症の知識や食の安全に関する理解も求められます。

8. 仕事のやりがいは何ですか?

動物の命を救うことはもちろん、飼い主の心の支えになる点が大きなやりがいです。
また、動物医療は年々高度化しており、人間の医療に近い技術(CT・MRI・再生医療など)も導入されています。自分の知識や技術が直接命を救う瞬間は、何にも代えがたい達成感があります。

9. 逆に大変なことは?

動物は言葉を話せないため、診断が難しいことが多いです。また、急患対応や夜間手術など体力的にもハードです。
さらに、飼い主との信頼関係を築くコミュニケーション能力も求められます。
感情面でも「救えなかった命」と向き合う覚悟が必要です。

10. 求められるスキルは何ですか?

医学的知識や技術はもちろん、観察力・判断力・コミュニケーション能力が重要です。
近年ではITスキル(電子カルテ、遠隔診療システムなど)やマネジメント力も必要とされています。
英語論文を読む機会も多いため、語学力も役立ちます。

11. 男女比や女性の活躍について教えてください。

現在、獣医学部の学生の約6〜7割が女性です。
出産・育児と両立できるよう、時短勤務制度を導入する病院も増えています。女性院長や専門医として活躍する例も多く、働き方の多様化が進んでいます。

12. 将来性はありますか?

ペットの高齢化や医療の高度化により、今後も需要は高まると見込まれています。
一方で獣医師の数も増えており、都市部では競争が激化しています。地方や特殊分野(家畜、公衆衛生、研究)に進むと安定した需要があります。

13. 海外で働くことはできますか?

可能です。海外の獣医師資格を取得する必要がありますが、日本での経験を活かして留学・研究・国際機関で働く人もいます。
特に動物福祉や感染症対策の分野では国際的な活躍の場が広がっています。

14. 働く上で大切にしていることは?

「動物と人の両方の幸せを考える」ことです。
獣医師の仕事は、単に動物を治療するだけでなく、飼い主の思いをくみ取り、最善の選択を一緒に考えることが求められます。
命に寄り添う姿勢が最も大切です。

15. 最後に、進路に悩んでいる学生へアドバイスをお願いします。

動物が好きという気持ちはもちろん大切ですが、それだけでは務まりません。獣医師は「命と真剣に向き合う」仕事です。
大変なことも多いですが、努力した分だけ確実に人と動物の幸せに貢献できます。
迷っているなら、実際に動物病院や研究施設を見学し、現場の空気を感じてみてください。きっとあなた自身の「答え」が見つかるはずです。